CMとPMの違いを徹底解説|建築発注者が使い分けるべき場面
- 4月22日
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更新日:4月24日
はじめに:なぜCMとPMは混同されるのか
建築プロジェクトを発注する立場になると、必ず耳にする2つの用語があります。CM(コンストラクションマネジメント)とPM(プロジェクトマネジメント)です。
「CM会社に依頼すべきか、PM会社に依頼すべきか」「両方の提案を受けたが、何が違うのかよく分からない」——こうした疑問を持つ発注担当者は少なくありません。実際、両者は実務レベルでは、明確に区別されておらず、企業や案件によって慣例的に使い分けられているのが現状です。
しかし、両者の概念的な違い、対象範囲の違い、契約形態の違いを整理しておけば、自社プロジェクトに最適な専門家を選ぶ判断軸が見えてきます。本記事では、CMとPMの違いを「定義/業務範囲/契約形態/使い分けの判断基準/併用パターン」の5つの観点から徹底解説します。
1. 定義の違い:CMとPMはそれぞれ何を指すか
CM(コンストラクションマネジメント)の定義
CMは、発注者の補助者・代行者であるCMr(コンストラクション・マネジャー)が、技術的中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階で各種マネジメント業務を行う建設生産・管理システムです。1960年代に米国で誕生し、日本では2002年に国土交通省が「CM方式活用ガイドライン」を策定したことを契機に、制度として整備が進みました。
CMの核心は、「建設プロセスを発注者の視点でマネジメントする」という点にあります。設計者・施工者・工事監理者という建設プロジェクトの主要プレイヤーから独立した第三者として、発注者の利益を代弁します。
PM(プロジェクトマネジメント)の定義
PMは、プロジェクトの目標達成に向けて、要求条件と制約条件をすり合わせながら、計画・実行・統制を行う活動全般を指します。建築分野に限らず、IT開発・製品開発・イベント運営など、あらゆる産業で用いられる汎用的な概念です。
建築分野におけるPMは、建築プロジェクトの全ライフサイクル(事業構想・企画から運用・廃棄まで)を統括するマネジメント業務として位置づけられます。事業計画の妥当性検証、立地選定、資金計画、設計・施工マネジメント、竣工後の運用支援まで、建設行為そのものに留まらない広い視野が特徴です。
両者の概念的な関係
整理すると、PMとCMには次のような包含関係があります。
PM:プロジェクト全体を統括する上位概念
CM:PMの中で「建設プロセス(設計・発注・施工)」に特化した業務領域
つまり、CMはPMの一部であり、建設行為に焦点を当てたサブセットと考えると分かりやすいでしょう。ただし日本の実務では、両者を厳密に区別せず一体的に提供されることが多く、契約上の区分も曖昧なケースが大半です。
2. 業務範囲の違い:どこからどこまでをカバーするか
CMの典型的な業務範囲
CMは主に設計開始から竣工・引き渡しまでをカバーします。一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会のCM業務委託書に整理されている標準業務は、次のフェーズで構成されます。
基本計画段階:CM業務計画書の作成、プロジェクト基本計画書案の作成
基本設計段階:設計方針確認、進捗モニタリング、概算工事費確認
実施設計段階:許認可支援、設計内容モニタリング、工事費精査
発注段階:発注方式策定、設計者・施工者・工事監理者の選定支援
工事施工段階:施工計画・施工図・出来高の確認、設計変更対応
竣工・引き渡し段階:検査支援、最終工事費請求の確認
PMの典型的な業務範囲
PMはCMの業務範囲をすべて含んだうえで、さらに事業構想・企画段階と運用・廃棄段階まで広がります。
事業構想・企画段階:事業計画の策定支援、投資収益性の検討、立地選定、資金調達計画、事業スキーム設計
建設プロセス段階:CMと同等の業務
運用段階:施設運営計画、維持管理計画、テナント誘致支援、ファシリティマネジメント連携
廃棄・建替段階:解体・建替・売却の意思決定支援
業務範囲の比較表
フェーズ | PM | CM |
事業構想・企画 | ○ 中核業務 | △ 限定的 |
基本計画 | ○ | ○ |
基本設計・実施設計 | ○ | ○ 中核業務 |
発注 | ○ | ○ 中核業務 |
工事施工 | ○ | ○ 中核業務 |
竣工・引き渡し | ○ | ○ |
運用・維持管理 | ○ 中核業務 | × |
3. 契約形態の違い:発注者との関係性
CMの契約形態
CMの契約は、日本コンストラクション・マネジメント協会が整備した「CM業務委託契約約款」がデファクトスタンダードとして広く利用されています。この約款では次のような事項が体系的に定められています。
業務範囲(業務委託書による明示)
受託者の善管注意義務
秘密保持・著作権の帰属
再委託のルール
業務内容の追加・変更と報酬調整
債務不履行責任と解除権
紛争解決手続き
CM契約は準委任契約として位置づけられるのが一般的で、CMr(受託者)は「成果物の完成」ではなく「善良な管理者の注意をもって業務を遂行すること」に対して責任を負います。
PMの契約形態
PMの契約には、CM業務委託契約約款のような業界共通の標準約款が確立されていません。実務上は、CM約款をベースにアレンジした個別契約や、コンサルティング契約の形式で締結されるケースが多く見られます。
業務範囲が事業構想段階から運用段階まで広いため、段階ごとに契約を分割する運用も一般的です。たとえば「事業構想フェーズの契約」「設計・施工フェーズの契約」「運用支援フェーズの契約」と、フェーズごとに業務範囲・報酬・期間を取り決めるパターンです。
アットリスク型CMという特殊形態
CMには通常の「ピュア型CM(発注者支援型)」のほかに、「アットリスク型CM」という形態があります。これはCMrが施工に関する一定のリスク(最大保証金額:GMPなど)を負う方式で、契約形態も準委任ではなく請負契約に近い性格を持ちます。日本では事例が限られていますが、東日本大震災後の復興事業の一部で活用されました。
PMには通常、こうしたリスク負担型の契約形態は存在せず、純粋な助言・支援契約として締結されます。
4. 使い分けの判断基準:自社プロジェクトに何を選ぶか
では、発注者として自社プロジェクトにCMとPMのどちらを起用すべきか。判断基準を整理します。
判断基準①:プロジェクトの起点はどこか
事業構想や立地選定の段階から専門家の関与が必要な場合、PMの選択が自然です。たとえば「老朽化した本社を建て替えるか、移転するか、売却して賃借に切り替えるか」といった事業判断そのものから検討するケースです。
一方、事業判断はすでに済んでおり、設計・施工フェーズの専門支援が必要な場合は、CMの選択が合理的です。「本社建替えは決定済み、これから設計者選定に入る」といった段階のケースが該当します。
判断基準②:プロジェクトの規模と複雑性
大規模・長期・複数施設にまたがるプロジェクト(複合開発、複数拠点同時開発、CRE戦略の一環など)では、PMの統括的視点が有効です。
単一施設の建設プロジェクトで、設計・施工マネジメントに特化した支援が必要な場合は、CMで十分対応可能です。
判断基準③:社内の意思決定体制
事業判断・投資判断は社内で完結でき、建設実務の専門性のみを外部補完したい場合は、CMが適しています。
事業判断段階から外部の専門家視点を入れたい、あるいは経営層への説明資料作成も含めて支援を受けたい場合は、PMが適しています。
判断基準④:竣工後の運用支援の必要性
竣工後の維持管理・テナント誘致・ファシリティマネジメントまで一貫支援を求める場合は、PMの方が業務範囲として整合します。
竣工・引き渡しまでで業務完了とする前提なら、CMで完結します。
判断基準⑤:呼称への過度なこだわりは不要
第三者として公平に申し上げれば、CMとPMの呼称の違いに過度にこだわるよりも、提供される業務内容と契約条件で判断するのが実務的です。
たとえば「CM会社」を名乗っていても事業構想段階から関与可能なケースもあれば、「PM会社」を名乗っていても実態は設計・施工フェーズ中心のケースもあります。重要なのは、契約書の業務範囲(CM業務委託書のような明細)で何が委託されるかを明確化することです。
5. 併用パターン:PMとCMを組み合わせる選択肢
大規模プロジェクトでは、PMとCMを併用するパターンも実務で見られます。
パターン①:同一会社による一貫支援
1社の専門会社がPMとCMを一貫して担当するパターンです。事業構想段階からPMとして関与し、設計・施工フェーズではCMとして実務支援を継続します。発注者にとっては窓口が一本化され、フェーズ移行時の引継ぎコストが発生しないメリットがあります。日本のCM・PM専業会社の多くは、このスタイルでサービスを提供しています。
パターン②:PMとCMを別会社に分離
事業構想・経営判断レベルのPMを総合系コンサルティング会社に委託し、設計・施工フェーズのCMを建設系専門会社に委託するパターンです。それぞれの専門性を最大化できる反面、両者の連携体制を発注者側で管理する必要があり、運営は重くなります。超大型開発や複数拠点同時開発などで採用されるケースがあります。
パターン③:ピュアCMとアットリスクCMの併用
東日本大震災後の復興事業で見られた特殊な併用パターンです。発注者支援はピュア型CMが担い、施工マネジメントはアットリスク型CMが担う形で役割分担します。一般的な民間プロジェクトでは稀なパターンです。
まとめ:CMとPMの違いを実務に活かすために
本記事のポイントを整理します。
CMはPMのサブセット:CMは建設プロセスに特化、PMはプロジェクト全ライフサイクルを統括
業務範囲:CMは設計〜引き渡し、PMは事業構想〜運用まで
契約形態:CMはCM業務委託契約約款がデファクト、PMは個別契約が中心
使い分けの軸:プロジェクトの起点・規模・社内体制・運用支援の必要性で判断
呼称より中身:CMかPMかという呼称ではなく、業務委託書の内容で判断するのが実務的
併用も選択肢:規模・特性に応じて、一貫委託や分離委託、特殊併用も可能
建築プロジェクトの発注者にとって最も重要なのは、「どの専門家に、どこからどこまでの業務を、どんな契約条件で委託するか」を明確化することです。CMかPMかという用語の選択は、その手段にすぎません。
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フォレル合同会社は、発注者の立場に立った建築プロジェクトのコンストラクションマネジメント(CM)/プロジェクトマネジメント(PM)を提供する専門会社です。事業構想段階の経営判断支援から、設計・施工マネジメント、竣工・引き渡しまで、プロジェクトの段階に応じて最適な業務範囲をご提案します。
フォレル合同会社の強み
段階に応じた柔軟な業務設計:PM一貫支援・CM特化支援・特定フェーズのみのスポット支援など、ご要望に応じた業務範囲をカスタマイズします
発注者目線の中立性:設計者・施工者から独立した第三者として、発注者の利益を最優先に判断します
明確な契約体系:CM業務委託契約約款に準拠した契約で、業務範囲と責任分界を明示します
初めての発注者にも分かりやすい伴走:CMかPMかの選択段階から、お客様のプロジェクト特性に応じた最適な体制をご提案します
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