わかりやすい原状回復の用語解説
- shuheikakita9
- 2025年12月21日
- 読了時間: 6分
更新日:1月15日
「原状回復の見積書や契約書を見ても、専門用語が多くて理解できない」 「“通常損耗”や“責任区分”って具体的にどういう意味?」オフィスの退去手続きを進める際、原状回復に関する言葉の理解不足が原因で誤解やトラブルが生じるケースは少なくありません。
この記事では、原状回復専門コンサルタントとして多数の企業退去を支援してきたフォレル合同会社が、 原状回復の基本理解に欠かせない主要用語を、実務に即した形でわかりやすく解説します。
1.原状回復の基本を理解するためのキーワード
原状回復(げんじょうかいふく)
賃貸借契約終了時に、借りた物件を入居前の状態に戻して返すこと。 法律上は民法第621条に定められており、借主は「原状に復して返還する義務」を負います。 通常の民法上は使用による損耗や経年劣化は原状回復の対象外ですが、特約で「借主がすべての内装撤去・補修を負担」とされているケースが多く、実質的に通常損耗も借主負担となることが一般的です。
例: 民法上は壁クロスの黄ばみや床のへたりなどは経年劣化のため、借主の費用負担とはなりませんが、賃貸借契約上の特約条項により借主負担となることが多いです。
通常損耗(つうじょうそんもう)
建物を通常の使用方法で使ううちに自然に劣化する部分。
代表例:
カーペットの擦り減り
壁の色あせ
ドアノブの摩耗
補足: 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常損耗や経年変化は借主の負担対象外とされています。
原状回復義務(げんじょうかいふくぎむ)
借主が負う法的義務。 契約書で特約がある場合(例:「借主は全ての内装を撤去するものとする」)は、 その特約が優先されることもあります。 したがって、契約内容の確認が最初のステップです。
2.見積もり・費用に関する用語
相見積もり(あいみつもり)
複数の工事会社から見積書を取り、価格・範囲・条件を比較すること。 1社だけに依頼すると、金額の妥当性を判断できないため、最低でも2〜3社から取得するのが望ましいです。
実例: フォレルが比較したケースでは、同一内容の原状回復工事で最大40%の価格差がありました。ただし、法人賃貸契約の場合、貸主(オーナー)または管理会社が指定する、特定の工事業者のみとなるケースが多いため、指定工事の有無は確認が必要です。
一式見積もり(いっしきみつもり)
「内装工事一式」「電気工事一式」など、詳細な内訳が省略されている見積形式。 内容が不透明で、不要な工事が含まれていても見抜けないことがあります。 → 必ず「数量」「単価」「範囲」を確認しましょう。
公共積算基準(こうきょうせきさんきじゅん)
国土交通省が発表する公共工事の標準単価。正式名称:公共建築工事標準単価積算基準 原状回復費の適正性を評価する際に、価格の根拠として参照できます。
実勢単価(じっせいたんか)
実際の市場で取引されている工事単価。 同じ内装工事でも、建物グレードや立地によって価格差が出るため、実勢単価と照合して妥当性を判断します。
仮設費(かせつひ)
個別工事に直接関係しないが工事全体の安全、効率、品質などを担保するために準備作業、整備の費用。 例:養生、足場、安全管理費、工事用光熱費、清掃費など。 見積書では「共通仮設費」などと表記されます。
注意点: 仮設費が直接工事費の総額の10%を超えている場合は内容を確認しましょう。
3.契約・交渉に関する用語
賃貸借契約書(ちんたいしゃくけいやくしょ)
原状回復範囲の根拠となる最重要書類。 契約書の「原状回復規定」「特約」「解約予告期間」などは必ず確認しましょう。
特約条項(とくやくじょうこう)
契約書の末尾に付く追加条件。 「借主は退去時に内装をすべて撤去する」「指定業者での施工義務」など、借主負担を拡大する条項が記載されています。
実例: 特約で「床カーペット・壁クロスを全交換」と明記されていたため、高額工事が発生。 交渉により一部削減できましたが、早期確認の重要性が明らかになったケースです。
敷金精算(しききんせいさん)
退去時、敷金から原状回復費用や未払い賃料を差し引いて返還する手続き。 トラブルを防ぐために、工事明細や精算根拠の開示を求めることが大切です。
工事区分(こうじくぶん)
建物のどの部分を誰が負担するかを明確にする分類。 主に以下の3種類:
借主工事(テナント負担)
貸主工事(オーナー負担)
共用部工事(共有エリア)
この区分を整理することで、不要な負担を避けられます。
責任区分(せきにんくぶん)
設備や内装の修繕責任を明確化する考え方。 契約書に定めがない場合、工事会社・オーナー・借主の間で認識が食い違い、トラブルの原因になります。
対応例: フォレルでは、工事区分と責任区分をセットで整理し、「誰が」「どこまで」負担するかを明文化します。
4.工事・引渡しに関する用語
工程表(こうていひょう)
退去日までのスケジュールを一覧化した表。 工事契約、工事着手から引渡しまでを逆算して管理することで、遅延や追加賃料を防止します。
実例:
工事契約の期限が未確認だったことにより、退去時期の遅延による追加賃料がしているケースも見られます。工事だけではなく工事契約期限についても確認が必要です。
立会い検査(たちあいけんさ)
工事完了後、オーナー・管理会社・借主が現場を確認する検査。 是正(再工事)が必要な場合はその場で記録します。
是正工事(ぜせいこうじ)
立会い検査で指摘された箇所を再修繕する作業。 是正対応には数日かかるため、退去日直前ではなく余裕を持って完了するのが望ましいです。
写真台帳・報告書
工事内容・範囲・完成状態を記録した書類。 「どこをどのように修繕したか」を証明するため、退去後の追加請求を防ぐエビデンスになります。
実例: 工事前にオーナーとの事前立会を行ない、修繕の程度を共通認識としておき、さらには写真報告書として残すことで、退去後の追加請求(約300万円)を取り下げに成功した事例もあります。
5.トラブル防止のために覚えておきたい用語
通常損耗と特別損耗
通常損耗:日常使用による自然劣化(借主負担なし)
特別損耗:故意・過失による破損(借主負担あり)
原状回復ガイドライン(国土交通省)
賃貸トラブルの防止を目的に国が示す指針。 「どこまでが借主負担か」を明確化しており、裁判や交渉時の判断基準にも使われます。
※ただし、賃貸借契約での特約条項がある場合はそちらが優先されます。
第三者コンサルタント
借主・オーナーいずれの立場にも偏らず、工事範囲・費用の妥当性を客観的に評価する専門家。 フォレル合同会社は、建築・設備両面の専門知識を持ち、かつ不動産の知識を有した専門家がオフィス原状回復の交渉を中立的に支援しています。
まとめ:用語を理解することが“トラブル防止の第一歩”
原状回復では、
契約書に使われる法律用語
工事見積で使われる専門用語
現場監理で使われる技術用語 が混在しています。
それらの意味を正しく理解することで、
✅ 契約内容を正しく読み取れる
✅ 見積の妥当性を判断できる
✅ オーナー・工事会社との交渉をスムーズに進められる
という大きなメリットが得られます。
フォレル合同会社では、原状回復に関する契約・費用・工程を第三者の立場でサポートしています。 退去準備や見積取得の前でも、まずはお気軽にご相談ください。


