賃貸借契約での現状確認がなぜ重要? 原状回復トラブルを防ぐためのチェックポイント
- shuheikakita9
- 1月13日
- 読了時間: 6分
更新日:1月16日
「入居時の状態がわからず、退去時に高額な原状回復費を請求されてしまった」 「どこまでが経年劣化で、どこからが借主負担なのか判断できない」 「現状確認を行わないまま契約した結果、貸主とトラブルになってしまった」
原状回復に関するご相談を受けている中で、特に多いのが “現状確認が不十分だったことによるトラブル” です。
入居時の状況が正確に記録されていないと、退去時に「これは借主の損耗だ」と言われても反論できず、本来不要な費用を負担してしまうリスクがあります。原状回復は、賃貸借契約の条文だけで決まるわけではありません。
「契約書の内容」+「入居時の現況記録」 のセットではじめて、適切な工事範囲と責任区分を判断できます。
この記事では、原状回復専門コンサルタントのフォレル合同会社が、現状確認の重要性、記録すべき項目、契約書のチェックポイント、実際のトラブル例までわかりやすく解説します。
原状回復における「現状確認」とは?なぜ重要なのか
現状確認とは
現状確認とは、入居時の状態を正確に記録し、退去時の判断基準を明確にする作業のことです。
・天井・壁・床の状態
・設備の動作
・汚れ・傷・破損
・ビル基準仕様との差異
これらを“入居時点で”写真・動画・書面として残しておくことが重要です。
トラブルの8割は「入居時の記録不足」
退去時に見積が高額になる理由の多くは、
・入居時からあった傷なのに、借主の損耗とされる
・経年劣化なのに借主負担と言われる
・設備の故障原因が不明
といった、「証拠がないことで判断できない」状況から起こります。
民法621条(通常損耗)の考え方
民法621条では、「通常損耗(経年劣化)や使用に伴う自然な摩耗は、借主が負担すべき原状回復義務に含まれない」
とされています。しかし、入居時の記録がなければ、 それが通常損耗なのか、借主による損耗なのか を証明できません。そのため、現状確認は法的にも重要な意味を持ちます。
賃貸借契約で現状確認が重要な3つの理由
理由①:原状回復の範囲は入居時の状態で決まる
退去時の判断基準になるのは、入居時の状態です。
例:
壁の汚れ → 入居時写真があれば経年劣化と判断可能
床の傷 → 入居時からあれば借主負担ではない
入居時の状態を明確にしておけば、不要な工事を避けられます。
理由②:損耗と経年劣化の区別ができる
原状回復トラブルの典型例が 損耗と経年劣化の誤認 です。
例:
空調の劣化 → 実は経年劣化(貸主負担)
照明の不点灯 → 球切れであれば貸主負担の可能性
現況の記録があるだけで、責任範囲の切り分けが容易になります。
理由③:見積の妥当性を判断できる
現況がわかっていれば、見積の内容が適正かどうか判断できます。
クロス全面張替え → 実は部分張替えや塗装で対応可能
床全面更新 → 汚れが一部なら部分補修で可
設備交換 → 故障原因が経年劣化なら借主負担ではない
📘 実例:クロス全面張替えを50%削減
入居時の写真に「既に汚れがあった」ことが映っていたため、 全面張替えから部分張替えに変更され、費用を半減できました。
入居時に必ず行うべき“現状確認の項目”
現状確認は「部屋をざっと見る」だけでは不十分です。 下記の項目を体系的に確認することが重要です。
天井・壁・床の状態
クロスの汚れ・破れ
床材(タイルカーペット)の浮き・傷
天井ボードの劣化
照明・電気設備
点灯確認
スイッチ・コンセントの破損
分電盤の状態
空調設備
冷暖房の動作
異音の有無
吹出口の汚れ
設備がA工事かC工事か(後の負担に関わる)
給排水設備
水漏れ
水圧
排水の流れ
扉・建具
建付け
鍵の動き
破損の有無
消防設備
感知器
非常灯
誘導灯
※特に感知器は位置が変わっているとB工事が発生するため要注意
ビル基準仕様との差異
天井仕様
床仕様
照明仕様
基準仕様との違いは原状回復範囲に直結します。
証跡として残すべき資料と記録方法
現状確認は、証拠として残すことが最も重要です。
現況写真(最低50枚以上)
壁・床・天井
設備周り
汚損・傷の接写
図面と照らし合わせて撮影
動画記録(設備動作)
✅空調
✅水道
✅照明
動作確認の「証拠」として非常に有効です。
入居時チェックリスト
貸主・管理会社のサインをもらう
設備個所ごとに記録
図面・設備台帳
後の見積精査に不可欠です。
📘 実例:空調の動画記録で修理費を免除
退去時に「空調が故障している」と請求された案件で、 入居時に撮影した動画が残っていたため経年劣化として貸主負担にできました。
契約書で必ず確認すべき条文(現状確認と原状回復に関係)
契約書には、原状回復の責任範囲を左右する重要な条項があります。
原状回復義務の範囲
「入居時の状態に戻す」 「借主の故意・過失による損耗のみ負担」 などの文言は読み取り方で費用が変わります。
通常損耗の扱い(民法621条)
特約で借主負担に拡張されていないか要確認。
工事区分(A/B/C工事)
※A工事(建物設備)はテナントが触れてはいけません。
現状確認不足で起きる典型トラブル
① クロス・床の全面張替えを求められる
入居時からの汚れでも、記録がないと借主負担にされるケースは非常に多いです。
② 空調機の故障責任
経年劣化なのに「テナントの使い方が悪い」と主張されることも。
③ 貸主側の仕様変更を借主負担にされる
ビル基準が変わったのに、元のテナントに負担が来るケース。
📘 実例:ビル基準変更を指摘し、50%削減 入居時の記録と契約書を基に協議し、不要な工事が減額されました。
まとめ:原状回復トラブルを防ぐためのチェックポイント
✅入居時に現状記録を必ず残す
✅動画で設備の動作を記録
✅契約書と現況を照合して矛盾を確認
✅変更工事は必ず承諾を得て図面化
✅退去前に専門家へ早期相談
✅違和感があればそのまま着工しない
現状確認は最も費用対効果の高い原状回復対策
現状確認を徹底しておくだけで、
・過大請求を防げる
・トラブルを避けられる
・見積の妥当性を判断できる
・契約内容を正しく理解できる
など、さまざまなメリットがあります。
原状回復は“やり直しができない”分野のため、 入居時のわずかな記録が、退去時の数十〜数百万円の差につながります。
もし契約書や現状確認に不安がある場合は、お気軽にご相談ください。 フォレル合同会社では、第三者として公平に工事範囲と責任区分を整理し、 不必要な費用を防ぐサポートを行っています。
お気軽に無料相談ください!



